サイトアイコン 放射線技師の学習ブログ

医療被ばくって大丈夫なの?病院で使われるレントゲン検査やCT検査、放射線治療と被ばくの関係

医療被ばくで障害は起こらないのか?

画像検査・放射線治療における被ばく量

 まずは下の画像を御覧ください。放射線医学総合研究所から出ている画像です。

 mSv(ミリシーベルト 1000mSv=1Sv)とGy(グレイ)という単位が出てきますが、Gyは放射線によって体に受けたエネルギー量の単位です。J/kgでも表せます。mSvは体の部位によって放射線の影響力が異なることを考慮に入れた値です。Gyに体の部位ごとの組織荷重係数をかけて表されるので、単位はGyと同じくJ/kgにもなります。

 全身一度に2000mSvの放射線を受けると5%の人が死亡し、4000mSvで50%、7000mSvで99%が死亡するといわれています。それを考えてもう一度上の画像を見ますと、健康診断でよく使われる「胸部X線」や「胃の透視検査(バリウム検査)」は年一回ですし、ほぼ影響は無いと言えるのではないでしょうか。

放射線障害の危険性と放射線検査の選択

 何らかの症状があって病院に受診された場合には精密検査としてCT検査を受けることはよくあります。1回2回程度なら何ら問題は無いと思いますが、短期間に何十回とCT検査を受ける場合も稀にあり、そんなときは放射線障害を考慮しなければなりません。

 では、なぜ放射線障害の危険性があっても検査をすることがあるのでしょうか。医療倫理の話になるのですが、患者に医療を提供する際には様々な義務があります。その中に、患者に対しての不利益が利益を超えてはならないという決まりがあります。例えば検査による被ばくを受けるが命に関わる病気を発見できるならば、その利益は検査による被ばくよりも大きいと言えます。放射線治療に関しても同じで、脱毛などのリスクはあるものの命に関わるがんを取り除くことができれば、その利益は計り知れません。

 利益が上回るから検査をするのはいいですが、放射線について学んでいない人は不利益部分について知ることもなければ、医師から説明を受けずに検査をすることが多いのが現状です。一般的に考慮するほどの事でもないですし、いちいち説明するほどでは無いのかもしれません。しかし、頻繁に検査を受ける患者様の中には被ばくの影響に不安を感じている方も多いと実感しています。もし、不安に思うならば医師や放射線技師に相談してみるのがいいと思います。

放射線被ばくについてよく知るために

 日本放射線技師会から出ている下の書籍は医療被ばくについては勿論ながら、福島第一原発事故では実際にどのような被ばくがあったのか詳しく解説されています。意外と身近にある被ばくについて知ることができるので興味があれば読んでみてください。

モバイルバージョンを終了