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第71回診療放射線技師国家試験を解説#AM66~70

午前 問66

Bergonié-Tribondeau〈ベルゴニエ・トリボンドー〉の法則が示す放射線感受性の高い細胞の特徴はどれか。

  1. 未分化である。
  2. 細胞周期が長い。
  3. 分裂の頻度が低い。
  4. 分裂の回数が少ない。
  5. 核/細胞質比が小さい。

解説

ベルゴニエ・トリボンドーの法則
・細胞分裂頻度が高いほど
・分裂回数が多いほど
・未分化なほど
放射線感受性が高くなる

答え 1

午前 問67

細胞に γ線を 4Gy 照射する場合、1回で照射するより、2Gy ずつ 12時間の間隔をおいて照射した方が細胞生存率は高くなる。
この現象を説明するのはどれか。

  1. 回復
  2. 再増殖
  3. 再分布
  4. 再酸素化
  5. 線量率効果

解説

放射線治療の4R

回復(Recovery)
 正常細胞はがん細胞よりも早く修復されることを利用し、正常細胞への影響を抑えつつがん細胞を死滅させる分割照射をおこなう。

再分布(Redistribution)
 細胞分裂のG1期からS期にかけてと、G2期からM期にかけての時期は放射線による影響を受けやすい。分割照射をおこなうと、当初は放射線抵抗性であった S期後半の細胞が感受性が高い G2/M期に分布するようになる。

再増殖(Repopulation)
 回復力はは正常組織の方が腫瘍組織より大きく、照射後には幹細胞が回復し、休止していた細胞分裂が再開する。

再酸素化(Reoxygenation)
 大きな腫瘍では腫瘍の表面が照射によって縮小されていくと、それまで届いていなかった中心部に血管が伸び、がん細胞内の酸素の供給量が増える。これにより、酸素分圧が低くて放射線抵抗性であった中心部の細胞は酸素化され放射線感受性が高くなる。

答え 1

午前 問68

放射線による晩期反応として正しいのはどれか。2つ選べ

  1. 食道炎
  2. 腎不全
  3. 心膜炎
  4. 皮膚炎
  5. 白血球減少

解説

部位急性反応晩期反応
全身放射線宿酔発がん、成長発育障害
血液白血球減少悪性貧血、白血病
皮膚紅斑、脱毛、潰瘍色素沈着、萎縮、皮膚がん
結膜炎、角膜炎白内障
神経浮腫、髄圧亢進壊死、髄膜炎、神経麻痺
消化器炎症、下痢、出血唾液分泌障害、潰瘍
呼吸器肺炎、浮腫気管支狭窄、肺線維症
泌尿器炎症、出血、排尿障害膀胱萎縮、腎萎縮
生殖器形成障害、生理不順不妊
骨髄障害骨壊死、白血病

答え 2,3

午前 問69

骨盤内臓器への放射線治療後に生じ得る合併症のうち確率的影響はどれか。

  1. 骨盤骨折
  2. 子宮肉腫
  3. 直腸出血
  4. 膀胱萎縮
  5. 小腸イレウス

解説

答え 2

午前 問70

直接電離放射線はどれか。

  1. γ線
  2. δ線
  3. 中性子線
  4. 特性X線
  5. 消滅放射線

解説

直接電離放射線:荷電粒子
間接電離放射線:光子、中性子

δ線:荷電粒子の電離によって生じる二次電子

答え 2

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