診療放射線技師国家試験で問われやすい要点をまとめています。誤字・脱字・修正点などありましたらコメントやTwitterにてご指摘いただけると幸いです。
他にもまとめた国試要点があるので下記ページからどうぞ
放射線防護の3原則
行為の正当化
放射線を使う行為は、もたらされる便益が放射線のリスクを上回る場合のみ認められる
防護の最適化
合理的に達成可能な限り被ばく量を減らして放射線を利用する(ALARA(アララ)の原則)
線量限度
国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告より実効線量限度が以下のように定められている
- 放射線作業(緊急時の作業を除く)を行う作業者は5年間で100mSv、1年間に50mSv
- 一般公衆の場合、年間1mSv
- 医療被ばくには適応されない
被ばく行為は正当化、最適化、線量限度の順に考慮しなければならない
放射線防護に用いられる数値
物理量
フルエンス
単位面積を通過する放射線の本数やエネルギー
単位はm-2、m-2s-1(フルエンス率)など
カーマ・吸収線量
カーマ:非荷電粒子により生じた全ての荷電粒子の初期運動エネルギーの総和
吸収線量:単位質量の物質中で電離放射線によって付与される平均エネルギー
つまり、吸収線量は全ての放射線に対して適応される
単位は J/kg = Gy(グレイ)
防護量
等価線量
- 人体への放射線の影響は、放射線の種類やエネルギーによって異なる
- 臓器や組織が吸収した線量に対し、その影響の大きさに応じて重み付けした線量
- 単位は J/kg = Sv(シーベルト)
- 確定的影響に対する防護量として用いる
等価線量=各臓器の吸収線量×放射線荷重係数
放射線 | 放射線荷重係数 |
---|---|
光子・電子 | 1 |
陽子 | 2 |
α線 | 20 |
中性子 | エネルギーにより 2.5~21 |
実効線量
- 組織・臓器ごとに等価線量と組織加重係数をかけて、全身分を足し合わせたもの
- 確率的影響に対する防護量として用いる
実効線量=組織・臓器ごとの吸収線量×放射線荷重係数×組織荷重係数
組織・臓器 | 組織荷重係数 |
---|---|
骨髄、結腸、肺、胃、乳房 | 0.12 |
生殖腺 | 0.08 |
膀胱、肝臓、食道、甲状腺 | 0.04 |
皮膚、骨表面、脳、唾液腺 | 0.01 |
残りの組織・臓器 | 0.12 |
預託等価線量
- 体内の臓器または組織が摂取後同様の期間に受ける等価線量
- 成人は50年間、子供に対しては70歳までの年数
預託実効線量
- 実効線量に着目して一生分を積算した線量
- このときの一生分とは、成人は50年間、子供は70歳になるまでの年数
実用量
周辺線量当量
- 環境モニタリングにおいて用いられる防護量の近似値
- 単位はSv(シーベルト)
- モニタリングにおいて直径30cmのICRU球が用いられる
個人線量当量
- 個人モニタリングにおいて用いられる防護量の近似値
- 単位はSv(シーベルト)
オススメの研修動画
YouTube公益社団法人 日本医師会公式チャンネルから診療用放射線の安全利用の研修が公開されています。放射線防護の3原則について約30分でよく理解できるので是非見てみてください。