診療放射線技師国家試験で問われやすい要点をまとめています。誤字・脱字・修正点などありましたらコメントやTwitterにてご指摘いただけると幸いです。
他にもまとめた国試要点があるので下記ページからどうぞ
正常組織の耐容線量(リスク臓器)
- 耐容線量はTD5/5(5年間で5%の患者に重篤な副作用を生ずる線量[Gy])もしくはTD5/50で表す。
- TD5/5 → 最小耐容線量
TD5/50 → 最大耐容線量 - 耐容線量は照射面積、照射時間、分割回数などに依存する。
- リスク臓器の線量低減にハーフフィールド、ノンコプラナ照射、IMRTが有効
臓器 | TD5/5[Gy] | 障害 |
---|---|---|
皮膚 | 55 | 壊死、潰瘍 |
骨 | 60 | 壊死、骨折 |
脊髄 | 50 | 脊髄炎、壊死 |
脳 | 50 | 壊死 |
水晶体 | 5 | 白内障 |
食道 | 60 | 潰瘍、狭窄 |
胃 | 45 | 潰瘍、穿孔 |
小腸 | 45 | 潰瘍、狭窄 |
大腸 | 45 | 潰瘍、狭窄 |
直腸 | 55 | 潰瘍、狭窄 |
肝臓 | 35 | 肝障害、腹水 |
腎臓 | 23 | 腎硬化症 |
肺 | 40 | 肺炎、線維症 |
膀胱 | 60 | 潰瘍、萎縮 |
精巣 | 5~15 | 永久去勢 |
卵巣 | 2~3 | 永久去勢 |
子宮 | 100 | 壊死、穿孔 |
腫瘍の致死線量
- 腫瘍治癒線量(TCD95):照射した腫瘍の95%を死に至らしめる線量
- 高感受性腫瘍(35~45 Gy):精上皮腫(セミノーマ)、神経芽細胞腫、ホジキン病、リンパ腫、多発性骨髄腫、胚細胞腫
- やや高感受性腫瘍(50~65 Gy):子宮がん、乳癌、(低分化)扁平上皮癌
- やや低感受性腫瘍(70~75 Gy):腺癌
- 低感受性腫瘍(80 Gy以上):神経膠腫、骨肉腫、悪性黒色腫(メラノーマ)、腎細胞癌、分化型甲状腺癌
治療可能比(TR:therapeutic ratio)
治療可能比(TR)=正常組織の耐容線量/腫瘍致死線量
TR > 1:高感受性腫瘍-精上皮腫、悪性リンパ腫、白血病、小細胞癌(肺)など
TR ≧ 1:中感受性腫瘍-乳癌、子宮体癌、腎細胞がんなど
TR < 1:低感受性腫瘍-悪性黒色腫、骨肉腫、神経膠腫、甲状腺癌など