第71回診療放射線技師国家試験を解説#AM81~85

午前 問81

Bragg-Gray〈ブラッグ・グレイ〉の空洞理論で正しいのはどれか。2つ選べ

  1. 二次電子の飛程は空洞より小さい。
  2. δ線を除外した阻止能比を用いている。
  3. 空洞内の電離電荷から媒質の吸収線量が求められる。
  4. 質量衝突阻止能比がエネルギーで大きく変化しない。
  5. 媒質と空洞壁材の質量エネルギー吸収係数は同一である。

解説

ブラッグ・グレイの空洞理論
・空洞の大きさが、充填ガス中の2次粒子(δ線)の飛程と比べて小さい
・電離箱の壁の厚さが2次粒子の飛程より十分に大きく、一次放射線が乱されない程度に十分に小さい

条件が成立したときに電子平衡状態となり、空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の比に等しくなる

答え 3,4

午前 問82

蛍光ガラス線量計について正しいのはどれか。

  1. 放射線照射により蛍光中心が生成される。
  2. TLDと比較してフェーディングの影響が大きい。
  3. 1回読み取りを行うと照射された線量情報を失う。
  4. 放射線のエネルギーに対する依存性は無視できる。
  5. 放射線照射後、紫外光を当てると青色の蛍光を発生する。

解説

蛍光ガラス線量計
・紫外線レーザーを当てるとオレンジ色に発光する
・アニーリング(加熱)によって蛍光中心が消失し、繰り返し測定が可能となる
・フェーディングの影響はほとんどない

答え 1

午前 問83

診療放射線技師の対応として適切なのはどれか。

  1. 病院の待合室で知人を見かけたため電子カルテで詳細を閲覧した。
  2. 研究のため患者個人情報を USBメモリに保存して自宅に持ち帰った。
  3. 意識不明の入院患者だったのでネームバンドで本人確認をして X 線撮影を行った。
  4. 医師の撮影指示は右膝であったが、患者が左膝痛を訴えていたため自己判断で左膝を撮影した。
  5. 上部消化管 X 線造影中に患者を支える必要があったので、看護師に透視のスイッチを押してもらった。

答え 3

午前 問84

DXA法の骨密度測定で正しいのはどれか。

  1. Tスコアの算出はできない。
  2. SXA法と比較して精度が劣る。
  3. 測定部位として腰椎が用いられる。
  4. 授乳中女性の骨密度は大幅に増加する。
  5. 50歳以上での骨密度の減少は男性で著しい。

解説

  • Tスコアとは若年成人と比較した骨密度の値
  • SXA法よりも精度が高い
  • 測定部位は主に腰椎、大腿骨頸部、橈骨、踵骨など
  • 授乳中女性の骨密度は減少することがある
  • 50歳以上での骨密度の減少は女性で著しい

答え 3

午前 問85

X 線管焦点サイズが Fで拡大率が Mの場合、半影の大きさを表すのはどれか。

  1. F・M
  2. F・M-1
  3. F-1・M
  4. F・(M-1)
  5. F -1・(M-1)

解説

焦点被写体間距離を a、被写体受像面間距離を bとすると

M=(a+b)/ a

半影の大きさ H=F×(b / a)

答え 4

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