第72回診療放射線技師国家試験を解説#PM6~10

午後 問6

超音波検査について誤っているのはどれか。

  1. 生体内における音速は組織によって異なる。
  2. 音響インピーダンスが異なる境界では反射を生ずる。
  3. 超音波のパルス幅が短いほど距離分解能は低下する。
  4. 探触子(プローブ)の周波数が高いほど深部の観察が困難となる。
  5. 伝播速度が異なる2つの媒質の境界に音波が斜めに入射すると透過波は屈折する。

解説

  • 距離分解能:パルス幅が短い・周波数が高いほど向上する
  • 方位分解能:振動子の直径が大きい(ビーム幅が細い)・周波数が高いほど向上する

答え 3

午後 問7

X 線管装置について正しいのはどれか。

  1. 実効焦点面積は実焦点面積より大きい。
  2. 長時間許容負荷は焦点面の温度で制限される。
  3. 焦点外 X 線の線質は焦点近傍で最も硬質である。
  4. 実焦点の大きさは低電圧で大電流ほど小さくなる。
  5. X 線強度分布は陽極側に比べて陰極側の方が大きい。

解説

  • 実焦点:実際に電子の当たる陽極ターゲットの面積
  • 実効焦点:実焦点面積を垂直投影した面積
  • 長時間許容負荷:陽極全体の温度で制限
  • 短時間許容負荷:焦点面の温度で制限
  • 焦点外 X 線の線質は焦点近傍で最も軟質
  • 実焦点の大きさは低電圧で大電流ほど大きくなる→ブルーミング効果

答え 5

午後 問8

FPD について正しいのはどれか。

  1. ゲイン補正は TFT パネルからの漏れ電荷を補正する。
  2. 画像の露出調整は出力された光量をアイリスで制御する。
  3. 欠損補正は欠損画素を周囲の正常画素により補間処理を行う。
  4. 直接変換方式の検出素子はアモルファスシリコンが用いられる。
  5. オフセット補正は増幅回路からの出力信号のばらつきを補正する。

解説

  • ゲイン補正:蛍光体やTFTの感度のムラによる画像のムラを補正
  • オフセット補正:TFTに常に流れている電流(漏れ電流)による画像のムラを補正
  • 直接変換方式の検出素子はアモルファスセレン(s-Se)、間接変換方式の検出素子はヨウ化セシウム(CsI)

答え 3

午後 問9

 CT値が85HUである組織のX線減弱係数 μA と、CT値が10HUである組織のX 線減弱係数 μB の比 μAB に最も近いのはどれか。
ただし、μA、μB はいずれもCT装置で用いられるX線に対する値とする。

  1. 1.01
  2. 1.07
  3. 1.68
  4. 6.00
  5. 7.82

解説

CT値=(( μt – μw ) / μw ) × 1000

答え 2

午後 問10

X線CT装置の自動露出機構について誤っているのはどれか。

  1. 患者被ばくの低減に寄与する。
  2. 部位や体型に応じて管電流を制御する。
  3. 骨盤部では中腹部よりも線量を多くする。
  4. 肺底部では肺尖部よりも線量を多くする。
  5. 位置決め用スキャンデータから照射する線量を求める。

解説

肺尖部は肺底部と比べ肩などの高吸収となる骨が多いため線量を多くする必要がある

答え 4

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