第73回診療放射線技師国家試験を解説#PM16~20

午後 問16

上腹部MRIにおける細胞外液性ガドリニウム造影剤を使用したT1強調ダイナミック撮影について正しいのはどれか。

  1. 腎癌の診断に有用ではない。
  2. 膵癌の診断に有用ではない。
  3. 動脈相では、脾臓の造影効果は肝臓のそれよりも低い。
  4. 動脈相の撮影は、造影剤投与開始後5分程度で開始する。
  5. 動脈相では、腎皮質の造影効果は腎髄質のそれよりも高い。

解説

  • 造影剤は腫瘍に集まりやすく、診断に有用である
  • 造影効果が高いということは血流が多いと同義である
  • 脈相の撮影は、造影剤投与開始後20~30秒程度で開始

答え 5

午後 問17

MRCPの適応とならない疾患はどれか。

  1. 膵癌
  2. 肝血管腫
  3. 総胆管癌
  4. 胆囊結石
  5. 慢性膵炎

解説

肝血管腫はMRCPで描出されるが、肝嚢胞との鑑別が難しいのでMRCPでは診断しない
膵癌や慢性膵炎によって膵管の狭窄や拡張がMRCPで描出できる

答え 2

午後 問18

超音波が屈折することにより発生するアーチファクトはどれか。2つ選べ

  1. 音響陰影
  2. 外側陰影
  3. 鏡面反射
  4. レンズ効果
  5. サイドローブ

解説

  • 音響陰影は反射によって物質の後方が無エコーになる
  • 外側陰影は音速が異なる2つの媒質の境界面で超音波が屈折することによって生じる
  • 鏡面反射は反射によって反射体を挟んで鏡写しのように物質像ができること
  • レンズ効果は屈折により後方の構造物が二重に表示される
  • サイドローブは反射体からの信号とメインローブからの反射信号が同時に受信されることによってできる

答え 2,4

午後 問19

腎性全身性線維症〈NSF〉の危険因子と考えられるのはどれか。

  1. 血液脳関門の破綻
  2. 著しいeGFR値の低下
  3. 超常磁性酸化鉄製剤の使用
  4. イオン性ヨード造影剤の使用
  5. ガドリニウム造影剤に対するアレルギー歴

解説

腎機能障害が存在するとGd造影剤が排泄されずに貯留され、金属Gdがキレートから遊離して組織に沈着することで線維化を引き起こす

答え 2

午後 問20

脳の一方向にのみmotion probing gradient[b = 1,000 s・mm-2]が印加された拡散強調像1を示す。
矢印の解剖名称で正しいのはどれか。

  1. 視床
  2. 脳回
  3. 脳溝
  4. 脳脊髄液
  5. 脳梁

解説

  • 脳回は大脳表面の組織
  • 脳梁は大脳の両半球をつなぐ交連繊維からなる構造

答え 5

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